AO.の音楽と楽器とお仕事とたくさんの物欲。

神がかった物欲衝動と趣味のまま長年継続している音楽活動、音楽スタジオに関する気ままなブログ。と、ビジネス中心度読書感想文。音楽中心かもしれないし、突き動かす物欲衝動で様々なものをレビューとかしてみようと思います。

"~なぜ「美意識」を鍛えるのか"読了。良し悪しの答えを自らの中にもて!

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)

昔、といっても9ヶ月ほど前ですが、羽田空港で確か航空機内に読む本を探しながらたどり着いた本です。(東京駅だったかな?どっちだけ?)
暇つぶしのジャケ買い、題名買いの本です。しかも9ヶ月前。
その後、この本はカバンの中に入りっぱなし、少し読んでは、違う本に目移りし、10冊以上に先を越されて。。。まぁ私に取っては少々曰く付きの本でした。

しかしここ9ヶ月で本を3〜40冊読んだ中でいわゆる私の読破力も上がってきたわけでありまして。無事この本も読破に至りました。

概要

論理的思考、数学的な考え方が「賢い」「エリート」と考えられている時代です。しかしそのような考え方の人材ばかりでは行き着く答えは1つであり、差別化を求められている時代ニーズにマッチしません。この論理的思考飽和時代こそ、直感や美意識など、論理では解決できない答えを持つ必要が出ていると本書は強く訴えます。

1章では、この美意識の部分を「アート」と呼び、それと反する形で存在する「サイエンス」(=論理、理性)、「クラフト」(=実績、ノウハウ)との共存が推奨されています。起業家が企業するときにまさに必要になる理念やビジョンは「アート」の領域であるということなどです。

2章では、自己実現欲求市場が膨らんできた現代にこそ、機能性、効率性に価値はないとうたいます。ないというかできて当然という見解で、実現すべきは差別化であるということです。

3章は、別の観点です。自己の中に美意識を持たない人間が至る問題と、昨今の技術進化のスピードの速さから巻き起こる問題定義です。具体的には、法整備の至っていない「グレーゾーン」で商売をする輩にたいして「美意識」がかけていると筆者は言っています。

4章は、脳科学の観点で、この美意識を司る脳分野に関する見解が示されます。

5章 オウムやユダヤ大虐殺に見られた、「良し悪しを考えられない人間」の至る末路。目の前のシステムを美意識、良し悪しの判断を行わず無批判に受け入れてしまう人材が侵す危険な部分が示されます。

6章 その美意識を外に持ってはいけない、中にも手という話と、マツダの美意識デザイン戦略の話が書かれています。これは本当に興味深い。

7章は これらを踏まえた美意識をどう鍛えようか

そんな流れになっています。

感想

まず、なぜ9ヶ月も読めなかったのか。

そこです。760円、255p程度の(と言ったら怒られそうですがw)本が本当に読むのに時間がかかりました。それはなぜか。。。それははっきり言ってですね。

文章が非常〜〜〜〜に読みにくい!

アートの重要性を歌いながら、文脈は非常にサイエンスなんです。論文やあるいは何かの複雑な問題を論理的に解いていくかのごとくの文章の言い回し。同じことなんども伝えてくる書き振り。なんというか。

論破される感じ

が非常にストレスを感じるわけです!はぁはぁ。。。

だから何が起きるかって?それは、、眠くなる、、なんですよ、、ふぁぁぁって。細かい字で同じことをなん度も買いてて進んだような戻ったような話で、横文字がたくさん出てきながらも参考文献がたく。。。zzz

です。

しかし重要な示唆がそこら中に溢れてる

システムエンジニア、プロジェクトマネージャとしてITの世界で論理的に思考をしながら過ごしてきました、論理で解決できない課題はないと。その中でたくさんの気づきがありました。

気づきの欄に書きましょかw

気づき

商品は自己実現欲求を満たさなければいけない

スターバックスMacBookを叩いている青年を見るとあぁ、そういう人だ。という風に見える。スターバックスapple もその人の「そういう人」実現に非常に重要な役割を果たしている。

これができない製品は淘汰されるということです。テクノロジーが進化してきた現代、発明はすぐコピーされ、機能性で比較なんてすぐできなくなる。そんな時代ではやはりこれしかない。そのためには、アップルが持つストーリーやこだわりが重要なのでしょうということです。ここはまさにアートでしょう。

ルール準拠じゃなく内発的な良し悪し判断ができないと

コンプガチャ問題、WELQ問題などをこの本ではこのように扱っています。「法整備未達領域での荒稼ぎビジネス」。少々過激な言い回しなのでドキドキするんですがまぁそうなのかもしれません。また現在こレが機能していないという事実から、法が後から抑制しにくるということが起きるのが今の時代です。

美意識に則って、後から見ても法的に問題がなさそうなこと、疑われないことをすべきなのではというメッセージにとらえます。

2017頃、数ある部下たちが判断に迷ったときに私はよくこのように伝えました。

選択肢がありなやむなら、
正しい方を選択しろ。

正義を選択しろ

それと同じだなぁと思います。自分の心の中に正義を持つ必要性、私はここ数年間そういう意識をするようになっていましたがこの本で後押しされた感じです。

システムの内部から変えていかなければならない

システムの外側から文句を言い、そのシステムのリプレースをしたところで結局のところまた問題がはらむだけだと筆者は言っています。また、システムの外側から文句だけをいう部分は全くよろしくないと言っているんですが、この具体的な事例がなんなんだと言えば

だと言います。これらを実施してきた人間が果たして今どれだけ改革をしているのだ、今となってはシステムのいいなりになっている人間の方が多いのではないだろうか、という強いメッセージを投げつけられます。
その通りかもしれません。はっとさせられます。

ロックンロールの精神が文明を開花させていく

知的反逆

という表現もされてますが、今に甘んじることなく、懐疑的でいることが進化をもたらすと説いています。過去の哲学においても天動説から地動説に変わった時も。天動説に対するロックンロールの精神が地動説を導いたという論法です。面白い。

おまけ

マツダの美意識

マツダがかっこよくなって久しいです。鼓動デザインコンセプトを打ち出した結果です。本書では、その鼓動デザインの確率までに1年を要したという話が書かれています。もちろん、skyactiveというマツダならではでの技術も後押ししていることは間違いありません。しかしこれまでは、こだわりはあるものの国内中堅メーカーだったマツダが今胸を張った販売価格で戦っています。

車種 初代価格帯(万) 現在価格帯(万) 価格上昇度合
デミオ 103~166 140~226 37~60
アテンザ 194~255 278~400 84~145
ロードスター 183~233 249~320 66~87

アテンザではなんと最大145万も販売価格を値上げしています。これはメルセデスのCクラス、トヨタのクラウンと対等に戦う金額なんです。本書ではこれを牽引するのは美意識、アートにしっかり注力してきた結果だと述べています。

コンシューマー向けではとくに、この美意識を形にすることが大事なのかもしれませんね。