AO.の音楽と楽器とお仕事とたくさんの物欲。

神がかった物欲衝動と趣味のまま長年継続している音楽活動、音楽スタジオに関する気ままなブログ。と、ビジネス中心度読書感想文。音楽中心かもしれないし、突き動かす物欲衝動で様々なものをレビューとかしてみようと思います。

"ザ・ベロシティ Velocity" 読了。隠れたTOCの必読書!ゴール好き必見!

ザ・ベロシティ


TOC 制約理論 として書籍を探せば、もちろんゴールドラット博士のゴールが出てくる。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

その後数冊のゴールドラット博士著によるTOCシリーズが展開される。そこには、製造業をターゲットにしたGOALの枠を超えた、様々な制約理論が織りなす世界が展開されていて非常に読み応えがあります。

そんな中、この本は書店ではTOCシリーズに並び販売されている、現時点で最終盤のTOCじゃないかなと思われる書籍です。残念ながら著者がゴールドラット博士じゃないからか、kindle化がされておらず、クソ分厚い本を毎日カバンに入れながら過ごす若干のストレスを感じながら、読破してまいりました。

そう、ザ・ゴールに魅せられ、TOCの完全読破を狙う私は、そこに並んでいたから買ったわけでありまして、前回のプロフィットと同じです。w

aostapp.hatenablog.com

絶対面白いはずなんやと。ジャケ買いです。

概要

goalシリーズとそれと同じく、買収にあった企業の業績改善改革プロジェクトをTOCを用いて推進して行く、経営者のサクセスストーリーです。

ハイTコンポジットという特定分野のトップクラス企業のR&D〜製造部分のお話です。主に製造部分とはなっていますが、企業の業績改善を推進するツールとして LSS(リーン・シックスシグマ)があり、親会社から強要され推進するもうまくいかず。。そんな中TOCのエッセンスがこの改革を軌道に乗せ成功するという、まさに、サクセスストーリーです。

感想

本書のエッセンスはゴールドラット博士が残したAGIゴールドラットインスティテュートの面々なのですが、このビジネス小説化しているのが、goalと同じジェフコックス氏であるため、そのストーリー構成や言い回し、サスペンスにも似たワクワク感の醸成がgoalと同じで非常に読み心地が良く、超絶分厚い本でも軽快に読み進めることができます。

一度読み進めた感想としては、やはり僕はTOCの虜なので読んでて楽しかったのですが、、、

ですが

TOCとLSSの競合というか、そういう演出が非常に多くて、全体の7割くらいが、問題が勃発して大変ですーみたいな流れにあります。残りの3割でTOCくんとLSSくんが手を取り合い二人三脚(といえでもほぼTOCくんに負んぶに抱っこみたいな感じ)でゴールを駆け抜けます〜
みたいな展開です。

なのでちょっと、出木杉くんなイメージです^^;
悪者臭のするR&Dセンター長が、投獄など若干無茶な展開も無茶だと言いたいw
まぁとはいえ、TOCが提唱する、利益創出のための俯瞰的な視野を持った制約点の検出はしっかりなされておりみていて子気味良いです。

気づき

大枠、TOC2.0とか、そんなノリの新しい世界がパーンとひらけた!という感じではなく、

そうそうTOCってそんな感じですよね!

っていう流れなので、ある意味安心な感じなんですが、どちらかというとそのビジネス小説とTOCの片鱗でやはりたくさんの気づきを頂戴しました。

R&D:製造のコミュニケーション課題

下流工程にスピーディに仕事をつなげる ということに対してインセンティブが働かず、製造フェーズが逼迫されているということです。改善活動としてはそのインセンティブルールの変更により、全社最適=業績改善がもたらされます。

まさにソフトウェアの世界でもコンサル:開発企業間で日常茶飯事で起きている問題ですよこれは。コンサルのインセンティブは質の高い、期待値の高いコンサルティング結果をoutputすることに集中していますが、その実現性や工期などを考慮した後工程への引き継ぎがないことはまさに同じでしょう。コンサル案件は失敗する、コンサルは信用できない、と呼ばれる質の低いコンサル:開発はこんな感じだと思います。やっぱりこういうところはワンストップで、共通目標を持って進めないと厳しいんですかね。

全てを改善 <> 全てが改善

改善することが目的化していると「改善したがる」人が増えます。改善はもちろんしたらいいんですが、結果を見ることがとても重要だし、結果を早く出すことを意識すれば、改善は短期でパフォーマンスが高い点に絞られるべきです。TOCの考え方ですよね。

そして、改善したらパフォーマンスが上がるのかというところを見ながら行わない改善はしたつもりでもなんだったらなにもスループットに貢献しない改善かもしれないということがあるんです。
本書では、LSSのみによる改善活動の部分でそのような感じに書かれていますね。

身の回りにも改善が目的化している人、改善マニアの人。改善したいと言いながら改善もできない人。多々います。自分がそうならないように、今一度帯を締め直す次第でございますw

信頼関係とコニュニケーション

当然大事な話です。不要という人はいないです。これがしっかり醸成されないことで様々な不都合が生じます。そんな中でも表現として印象に残ったのはこちらで

自分を弁護するための長文メール

これほど無駄なものはないよねという話がありました。あぁ。。。となりましたね。最近はどちらかというとかく方というか見る方が多いんですが、、、これそうそう、無駄なんです。

一番大きな気づきというか冷や汗

劇中で出てくるR&Dセンター長や最も技術を持っているアナリストと呼ばれる人間たちがいます。彼らは、自分たちの取り組んできる崇高で知的な取り組みの数々のために、一切の工数を惜しまず進めるみたいなところがあります。

他方、製造では徹底的に無駄の排除やスループットの向上を意識した取り組みが行われます。

果たして実際の僕の仕事はどこに当てはまるのだろうか

そう考えたわけです。そしたら冷や汗ものの気づきがあって。。。
 要件定義 -> 設計 -> 開発 -> 検証 ->納品 
そういうサイクルをシステム開発のWFモデルにおいては実施します。アジャイルではその流れは違いますがインとアウトはまぁ同じといえば同じです。(WFとアジャイルの話じゃないのでその辺りは割愛)

今我々が実施している 開発 -> 検証 ->納品 という手続きはカイハツ、ではなく、生産、製造工程だなと改めて感じ、製造業としてのTOCやLSSに学ぶところは多いと感じました。

はっきり言って、
日本のシステム開発の90%以上は知的生産性の高いものではない

と根拠もなく想像します。ITは頭のいい仕事だの、カイハツとかいう耳障りの良い言葉の上で、出さなくても良いバグを出してる現場は5万とあるだろうと感じます。

ただの生産にもかかわらず、カイハツをR&D的に言葉尻だけ捉えて、崇高な作業なふりをしてあぐらをかいて改善を行わない。

しかたないもの

くらいに思っている奴がたくさんいます。大野耐一が聞いたら泣きます><

日本のシステム開発の90%以上は知的生産性の高いものではない

つまり

仕様変更が可能な受注生産や注文建築と変わらないんじゃないの?

ということです。
これは怖い話だなと思いました。。。

おまけ

印象に残ったキーワードがありましたね。。。

ひどい上司でも、合法的で倫理上問題がなければなんだってしなければならない

ひどい上司にはなりたくないもんですが、上司や経営と、従業員間の統率というのは、アメリカは

ビシッ

と線が引かれてるなぁと感じました。日本の、少なくとも僕が経験した(5つの)企業では、上司部下はあるもののこのようなマインドではないというか、ちょっと違うなぁと思いましたね。甘い会社に所属しているだけなのでしょうか。。。

MBWA (Management By Walking Around)

ウロウロ歩き回りながら状況を把握するマネージメント手法ですね。僕はこのタイプで、これを賛成する人間です。が、最近あまりできてない気がする!やばい!

ということで

TOC大好きです。一通り本家のTOC書籍はこれで網羅しました。
もう一度初めから読み直そうかと思っています。
本書と直接関係ないかもしれませんが、かなりたくさんの気づきを得ることができてこの本には感謝しています。貪欲にたくさんのことに気づいていくにはkindleじゃなくて紙の本の方が良いのかなぁとも思いましたねw

そして、こんなに色々考えてたら、メモがてらブログでも書かないと飽和しちゃいます。

ザ・ベロシティ

ザ・ベロシティ

  • 作者: ディー・ジェイコブ,スーザン・バーグランド,ジェフ・コックス,スーザン・バーグランド/ジェフ・コックス,三本木亮
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/11/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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