ギターアンプのスピーカーを交換する――。
この言葉を聞いてピンと来る人は、かなりの機材好きだろう。
「アンプの音はアンプで決まる」と思われがちだが、実はスピーカーユニットの個性こそが、そのアンプのサウンドキャラクターを決定づけると言っても過言ではない。
ちょうど、クルマのエンジンが同じでも、車体やサスペンションのセッティングで乗り心地が全く変わるのと同じだ。
今回紹介するのは、その心臓部とも言える、まさに伝説のスピーカーユニット。
Celestion G12M Greenbackだ。
なぜGreenbackは「伝説」と呼ばれるのか?
Greenbackが誕生したのは1965年。世界初のセラミックマグネットスピーカーとして、ギターアンプの歴史に革命をもたらした。
当時のアンプメーカーはこぞってこのスピーカーをキャビネットに採用し、多くの名盤が生まれた。特にMarshallの4x12キャビネットに搭載されたサウンドは、60年代後半から70年代にかけてのロックサウンドを象徴するものとなった。
AC/DCのアンガス・ヤングや、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンといった、そうそうたるギタリストがこぞって愛用したのは、このスピーカーが持つ独特のサウンドキャラクターゆえだ。
音の傾向は、暖かみのあるミッドレンジと、独特のバイト感。強くピッキングした時に食いつくようなアタック感があり、それでいて滑らかで音楽的な歪みを生み出してくれる。
単に音を出力するだけでなく、アンプやギターの信号に積極的に"味付け"をしてくれる。IT業界で言えば、ただのPCパーツではなく、OS自体を入れ替えるような根本的な音質改善なのだ。
他のCelestionスピーカーとの徹底比較:あなたの求める音は?
CelestionにはGreenback以外にも多くの名機がある。ここでは代表的なモデルを、私の個人的な知見と公式情報を基に比較してみよう。
| モデル名 | G12M Greenback | V30 (Vintage 30) | G12H-30 (Heritage) | Creamback (G12M-65) |
|---|---|---|---|---|
| 許容入力 | 25W | 60W | 30W | 65W |
| マグネット | セラミック | セラミック | セラミック | セラミック |
| 感度 | 98dB | 100dB | 100dB | 98dB |
| 音の傾向 | ウォームで豊かなミッド。強く弾くと程よくコンプレッション。 | タイトでパンチのある低域。プレゼンスが強く、クリアな高域。 | Greenbackのミッド感に、より力強い低域と高い解像度を追加。 | Greenbackのサウンドを継承しつつ、高出力アンプでも潰れない。 |
| 歪み方 | スピーカー自体が歪み、飽和して音楽的なコンプレッションを生む。 | アンプの歪みを忠実に出力し、スピーカーはあまり歪まない。 | GreenbackとV30の中間。しっかり歪むが、解像度も高い。 | Greenback同様の質感だが、許容入力が高いためクリーンでも使える。 |
| 得意なジャンル | ブルース、クラシックロック、ブリティッシュロック(AC/DC、ジミヘン、クラプトン) | ハードロック、メタル、モダンロック(スラッシュ、ジョン・ペトルーシ) | クラシックロック、ハードロック(ジミヘン) | あらゆるジャンルに対応。特に高出力アンプでGreenbackの音が欲しい場合に最適。 |
| IT業界で例えると | 処理速度は速くないが、使い込むほど味が出るLinuxサーバー。 | 最高のパフォーマンスを誇る最新のWindowsサーバー。 | Linuxの良さを継承しつつ、機能性を強化したサーバー。 | Linuxの安定性に最新のクラウド技術を融合させたハイブリッドサーバー。 |
| クルマで例えると | 古いVW Type 2。決して速くはないが、独特のエンジン音と乗り味がたまらない。 | ランボルギーニ。圧倒的なパワーとレスポンスで、速さと正確性を追求。 | ローバー・ミニ。小さい車体に、パワフルなエンジンを積んだチューニングカー。 | 最新の安全装置と快適性を備えた、クラシックカーのリメイクモデル。 |
※上記の比較表はCelestion公式情報と筆者の個人的な見解に基づいて作成しています。特に数値面では調査不足の懸念もありますので詳細はご自身でお調べくださいませ。また、サウンドの感じ方には個人差があります。
スピーカーは「楽器」の一部だ
一般的なオーディオ用スピーカーは、音を忠実に、フラットに再現することを目的としている。しかし、ギターアンプ用スピーカーは違う。
アンプやギターの信号を「歪ませ、味付けする楽器の一部」として設計されている。スピーカー自体が歪みやコンプレッションを生み出すことで、最終的なギターサウンドのキャラクターを決定づけるのだ。
もしあなたのギターサウンドがしっくりこないなら、それはアンプやエフェクターだけでなく、スピーカーユニットが原因かもしれない。
Greenbackは、手持ちのアンプの可能性を最大限に引き出し、新たなサウンドの扉を開いてくれる。ギターを始めた頃のような、ワクワクする気持ちを思い出させてくれるだろう。
ぜひ、この機会にあなたの機材に新たな魂を吹き込んでみてはどうだろうか?
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