桃太郎ジーンズ出陣レーベルに再会！15年越しの想いを綴るジャパンデニムの魅力

あの日の衝撃を、今でもはっきりと覚えている。

あれは2006年のことだ。当時、IT業界で駆け出しだった私は、少し年上の先輩に憧れを抱いていた。その先輩が、ある日、今まで見たこともない、やけに「男前」なデニムを穿いてきたのだ。

「先輩、それどこのデニムですか？」

尋ねると、先輩はにやりと笑って「桃太郎」と答えた。

「ももたろう？」

正直、耳を疑った。アニメの主人公みたいな名前が、あの格好良いデニムと結びつかなかったからだ。しかし、それが私と桃太郎ジーンズ、そして「ジャパンデニム」との出会いだった。

デニムの聖地「岡山児島」の歴史が詰まった一本

桃太郎ジーンズは、ジーンズ好きなら誰もが知る「デニムの聖地」、岡山県倉敷市児島に拠点を置くブランドだ。

児島地区は、もともと学生服や作業服の生産で栄えた繊維の町。しかし、1960年代に入り学生服の需要が減る中、新たな活路としてジーンズ生産に乗り出した。

1965年には、日本で初めて国産ジーンズが誕生。その後、デニム生地も国産化に成功し、素材から縫製、加工までを一貫して行える世界でも稀な産地へと成長した。桃太郎ジーンズは、そんな児島デニムの歴史と職人技を現代に受け継ぐ、まさに雄（ゆう）と呼べる存在なのだ。

桃太郎ジーンズの出陣レーベルを語る上で欠かせないのが、その生地への尋常ではないこだわりだ。

まず素材には、世界最高峰の品質を誇る「ジンバブエコットン」が使われている。手摘みで収穫されるため不純物が少なく、しなやかで柔らかい穿き心地が特徴だ。

そして、このジンバブエコットンを超高密度に織り上げたのが、15.7ozのヘビーオンスデニム。正直、最初は少し硬く感じるかもしれない。しかし、これが穿き込むほどに体に馴染み、柔らかくしなやかになっていく。この変化がまたたまらない。

極めつけは、桃太郎ジーンズの代名詞でもある「世界最特濃」に染め上げられたインディゴ。芯の部分は白く残るように染められているため、穿き込むほどに濃淡の激しい、メリハリのある色落ちが楽しめる。

この生地が、履きジワやアタリとなって刻まれ、自分だけの物語を語り始めるのだ。まるでヴィンテージカーの経年変化や、使い込んだドラムスティックの傷跡みたいに、愛着がどんどん湧いてくる。

出陣レーベルの最もアイコニックな特徴といえば、やはり右バックポケットに大胆に描かれた2本の白いラインだろう。

このラインは、桃太郎が鬼ヶ島へ向かう際に掲げた「のぼり旗」をイメージしたものだ。単なるデザインではなく、桃太郎ジーンズのブランド哲学そのものを象徴している。

手作業でペイントされているため、一本一本にわずかな個体差があるのも魅力だ。

今回私が選んだのは、品番「MMJB0101」、通称「#100 クラシックストレート」。

モデル名	特徴	着こなしのイメージ
出陣クラシックストレート（#100）	股上が深く、太ももから裾にかけて緩やかにテーパードを効かせた、ゆとりのある普遍的なシルエット。	ワークブーツやスニーカーと合わせて、ゆったりとしたアメカジスタイルに。
出陣スリムストレート（#0205SP）	やや股上が浅く、全体的にすっきりとした細身のストレート。	Gジャンやレザージャケットなど、タイトなアウターと好相性。
出陣ナローテーパード（#0105SP）	股上は浅めで、膝下から強くテーパードを効かせた、最も細いシルエット。	きれいめなシャツやジャケットと合わせて、大人のカジュアルスタイルに。